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移住した人に聞いてみた!:大家さんの想いを引き継ぎながら自分たちらしく。〜後編 家編〜
2023.08.06
中津や耶馬溪でのリアルな暮らしや移住ストーリーをお伝えする「移住した人に聞いてみた!」。前回に引き続き、下郷地域で農家として暮らす吉田夫妻に、後編では家探しや今の暮らしについてお聞きしました。
5年かかって見つけた「シャクナゲの家」
移住を決意してもなかなか理想の家が見つからなかった吉田家。なんと5年もかかったそうです。
翔子「本当に借りられる家が出てこなかったんです。お世話してくださった方が紹介してくれた所だったら、もうどんな状態でもそこに決めようと夫と話していました。結果めちゃくちゃ良い所だったので粘った甲斐がありました。」
今の家と出会った時は、10年ものあいだ空き家になっていて、大家さんもなかなか見つからずでしたが、地域の方々も親身になって探してくれて、ついにたどり着いたのだとか。
翔子「その地域にすみたいって思ったら、通いつつ、帰るまでに少しでも地域の方との関係性を作ることが大事です!ここはシャクナゲのお家って言われるくらい、シャクナゲがたくさん咲くんです。また、1ヶ月ごとに何かの花が咲くような庭づくりになっていて、以前住んでいた方はお手入れもこまめにされていたそうです。」
取材した時期は、玄関の近くにクチナシが咲いていました。そこには甘い香りが広がっていて、取材している私もうっとり癒されました。
水回りを中心にリフォーム
リフォーム後のトイレ。
まず、トイレについて、借りた当初は男性用と女性用の2箇所があり、所謂“ぼっとんトイレ”だったため、簡易水栓へリフォーム。周りのタイルは当初のまま。リフォームするときに意識したのが、ドアの場所。あえて壁の端っこにドアをつけずに、少し中央寄りに取り付けることで、壁側に収納用の棚を取り付けられるようにしたそうです。トレイの棚。
お風呂周りについては、最初は脱衣所がなく、その代わりに浴室がかなり広く、通常のサイズの2倍くらいの広さがあったそうです。
翔子「タイル張りで、めちゃくちゃ広かったんです。冬場は絶対寒いと思って、浴室をリフォームして半分のサイズにしてもらいました。水場以外は大家さんの手入れがよかったので、ほとんど直さなくても住める状態でしたね。」
リフォーム後の浴室。
こうした水回りのリフォームは、市内にあるリノベーション会社「アッド・エヌ」へお願いしたそうです。「アッド・エヌ」は耶馬溪町にあるカフェ「brise de lune」のリフォームも手がけており、敦さん母が、そのカフェへ寄ったことがきっかけで今回の改修工事へと繋がったそうです。
夢の薪ストーブがある暮らし
お気に入りの薪ストーブ。
家の中で一番お気に入りの場所をお聞きしたところ、「薪ストーブ」と話す翔子さん。結婚した時からの夢が、薪ストーブとハンモックのある暮らしだったそう。
翔子「薪割りとか、薪の調達は大変です。でも街中だと買うことがほとんどだと思うんですけど、ここだと管理も含めて、木がたくさん出てくるので材料には困りません。むしろ灯油を買いに行くほうが結構大変なんです(笑)。」
大家さんが残してくれた食器が大活躍。
翔子さんのお気に入りのお皿。
空き家に住む時、前の大家さんが家財を残したまま、家を貸したり、売買をすることがよくあります。その中でも昔の人は冠婚葬祭を家でやることが多く、また引き出物をもらうなど、食器類が多く置いてあることがよくあります。吉田さんのお家もまさに家財が置いたままで、食器類もたくさんあったのだとか。ある程度のものは処分をしつつ、使えそうなものは残して、現在も大事に使ってるそうです。
家財整理の中でも見つけて、お気に入りなものが、「ノリタケ食器」のシリーズ。綺麗な青色と繊細な装飾が施されているこの食器。普段の食事の時も大活躍だそうです。
とても几帳面な大家さんということもあって、綺麗に梱包されて残っていた食器たち。農作業へお手伝いに来てくださった方とお昼をなるべく一緒に食べることを大切にしている吉田家。大家さんが残してくれた20人分のお皿もあるそうで、田植えの時など人が集まった時に使われているそうです。
大家さんの大事にしてきたものも大切に。
理想の暮らしを作りつつ、大家さんが残してくれたものも大切にされている翔子さん。
翔子「暮らしているとだんだん、『自分達が暮らしやすいように』とか、『作業しやすいように』とか考えて、自分達らしさが出てくることが増えてきますよね。でも、大家さんが大事にしてきたものがなくなるのってちょっと寂しいかなと思っていて。こういう食器だったりとか引き継がせてもらえるものは、大事に使っていきたいと思っています。」
大家さんの残してきたものも大切にしつつ、少しずつ理想の暮らしも作り続けている吉田家。大家さんとの繋がり、地域との繋がりに助けてもらっていることに日々感謝しながら少しずつ手探りで作っている自分たちらしい暮らし。この町で農家として歩み始めることは決して楽なことでは無いけれど、たくさん試行錯誤しながら前に進む強さを感じました。
そんな吉田家が作る野菜耶馬溪町内では、旬菜館と旧平田郵便局にて買えますのでぜひお試しあれ!インスタグラムからも吉田家の畑の様子、販売情報など、ぜひご覧ください!
吉田さん移住話 前編はこちらから
移住した人に聞いてみた!:地域の人と支えあって生きる。~前編 暮らし編~